ビジネス意思決定を読んで【感想】

 

ビジネス意思決定---理論とケースで決断力を鍛える

ビジネス意思決定---理論とケースで決断力を鍛える

 

 仕事をする上で意思決定をもっと素早く、より正確にしたいと言う動機でこの本を購入した。

が、どちらかと言うと割と腰を据えて意思決定をするための本だった。これまで知らなかった「普通」の意思決定の技術や心構えがかかれている。意思決定の具体的なノウハウが理路整然と描かれているが、人間的な「ゆらぎ」もちゃんと考慮している本であるのことが非常によかった。前半は論理、後半は2つの事例を通して意思決定の練習することができる。

【こんな人におすすめ】

・意思決定の基礎知識が欲しい人

・意思決定の練習が欲しい人

・意思決定に疲れてしまっている人

 前半は意思決定をどうすればいいのか?の基礎知識について書かれていて、主に2つのフレームワークについてちゃんと教えてくれる。

1つめは、決定木を使って意思決定を行う内容が書かれている。現状と決定の選択肢の中から先の状態を評価してどの意思決定がよいのかを判断する方法を伝えている。外的要因をどう処理すればいいのか、評価をするときに変動する要因についてはどう取り扱えばいいのかなど、シンプルに見えて意外と複雑な事象にまで触れている。

もう1人つがマトリクスを使った意思徹底方法で、よくある決定するときのパターンが描かれている。囚人のジレンマが発生していたり、簡単に決定できない状態を6パターンほど提示して、マトリクスで論理的に解説している。日々の意思決定で迷いが発生している人がいるなら、ここで助けてもらうといいと思う。

それが終わると、2つの事例について意思決定の練習が出来るようになっている。

 日本軍の雪中高原行軍で起こった危機予測の意思決定について書かれており、もう一つが国家間の意思判断が求められたキューバ危機について書かれている。前者のパターンでは自然を相手にした「はっきりしない情報」がたくさんあるなかでどう意思決定するか?の練習ができ、後者は人の意思決定が絡み、絶対に判断を誤ってはいけないときの意思決定の練習が出来る。

そして史実で実際はどうなった読むことができるので、自分の意思決定を比較して採点することができる。

この2つのパターンで決定木やマトリクスを使うことが実際にできるので、普段の意思決定でも本に書かれていた手法を応用できることに気づくことができる。

最後にとても良いことが書かれており、なぜ意思決定がこんなに難しいのかについて書かれている。大抵は利益と正義で悩むだろうことが書かれており、どうしても迷うようなら最終的に自分の正義をもとに決定すればよいと提案してある。長く本書で論理的に容赦なく意思決定の方法について書かれていたにも関わらず、意思決定者の心の内を支えるようなまとめ方は、普段決定することを負担に感じている人の気持ちに寄り添ってくれる。

そんなわけで、意思決定の基礎を抑えたい人のみならず、意思決定をする上で様々な葛藤を抱えている人が読むとより効果を感じられる本なのかもしれない。